労働対策推進会

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■退職金の不払い
退職金不払い


<判例>T.「御国ハイヤー事件(最高裁昭和58715日)」 
 この事件は、現在ある退職金規定を従業員の同意を得ないまま一方的に変更し、変更後退職した従業員が変更された規定は無効であると訴え、変更前の退職金規定により計算した金額を使用者側に請求したものである。変更前の退職金規定は「退職時の基本給月額に勤務年数を乗じた額とする」といった内容であり、変更された退職金規定は「変更前までの退職金は旧規定どおり勤務年数に対応した金額を支払うが、変更後の期間は勤務年数に算入しない」といった内容でした。
つまり今までの分は旧規定どおり支払うが、今後は退職金自体を支払わないということであり退職金制度の廃止ということです。しかも、退職金廃止の代替措置をまったくとっていませんでした。

【判決】会社側の敗訴(この退職金規定の変更は認められず旧規定どおりに退職金を支払わなければいけない)

 この判例から、退職金制度を廃止する場合の重要な要素として、
@ 退職金(既得権分)の支払い。
A 労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な理由・内容であることを要する。
B 労働者が被る不利益の程度
C 適切な代償措置・経過措置等による他の労働条件の改善状況
D 労働者への十分な説明+個別の同意(書面締結)
E 就業規則(退職金規定)の変更


(退職金・退職年金の廃止に伴う代替措置の例)
 退職金制度の廃止後は、これまで後払いしてきた賃金を、その都度支払うことによって対応する。すなわち従業員の資格等級等に応じた新たな手当(これまで後払いしてきた賃金相当部分)を毎月の給与に付加支給することによって、実質的に労働条件が低下しないよう対応する(原資自体は変わらないということ)。

 


 A社の従業員Bさんは、営業成績が常に上位の営業マンであった。今回、A社のライバル会社C社よりヘッドハンティングがあり、待遇もよかったので、BさんはC社へ入社することを決めた。ただ、A社は以前より引き抜きを警戒して、就業規則に競業禁止規定を追加していました。「退職後1年以内に同市内の同業他社へ就職した場合には退職金を不支給とする」という内容である。この場合、Bさんは退職金をもらえないのでしょうか?


 この場合、Bさんは競業禁止規定への違反は明らかなので、
退職金は減額されるでしょう。しかし、全額不払いは認められないと考えられます。
 本来、労働者には、憲法22条で「職業選択の自由」が保障されています。ただ、この権利を使った結果、他者に著しい不利益がもたらされた場合には、職業選択の自由にも、ある程度の制限が加えられます。つまり、退職金の全額不支給となるケースは、例えば、企業の重要な内部情報を熟知している社員が同業他社に入社し、この情報を利用したことによって前の会社が大きな損害を被った場合などです。

 まとめると、就業規則に退職金の減額・不支給などの規定があった場合には、退職金の減額は認められるでしょう。ただし、退職金の全額不支給が認められるためには、
@ 全額不支給の必要性
A 退職に至るいきさつ
B 退職の目的
C その違反行為による損害額
以上の項目を考慮して判断する必要があります。

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